サンアントニオ、市内のビットコインATM詐欺対策を強化
サンアントニオ、市民が3,900万ドルを失った詐欺を受け、ビットコインATMへの警告表示を義務化。
サンアントニオ市は、ビットコインATMを悪用した詐欺を抑制するため、新たな規制を導入する。7月1日から、市内に設置されている193台すべての暗号資産ATMに対し、詐欺の手口を警告する案内表示の設置が義務付けられる。この措置は、2024年1月から2026年4月までの間に660件の被害報告が寄せられ、被害総額がおよそ3,900万ドルに達したことを受けて実施される。
警察によると、詐欺グループは共通した手口を用いている。警察官や行政機関の職員、公共料金事業者などを装い、「逮捕状が出ている」「未払いの罰金がある」「料金が滞納している」などと被害者を脅し、現金をビットコインATMへ入金するよう指示する。その間、犯人は電話をつないだままにし、家族や店舗スタッフ、さらには緊急通報への相談を妨げるケースが多いという。
確認された被害者の約38%は66歳以上の高齢者だったが、10代の若者や90代の高齢者が被害に遭った事例も報告されている。また、全体の88%では被害額が5万ドル未満だった一方で、1件あたり100万ドルを超える被害が発生したケースも4件確認された。
新たに設置される警告表示は英語とスペイン語の2言語で記載され、代表的な詐欺の手口を紹介するとともに、不審な要求や強いプレッシャーを感じた場合は911へ通報するよう呼びかける。必要な表示を設置しないATM運営事業者には、違反1日ごとに100〜500ドルの罰金が科される。
同様の対策は、テキサス州全体でも検討が進められている。スミス郡の保安官は、ジョージア州の刑務所に収監されていた受刑者が関与したとされる詐欺で、高齢女性が1万3,000ドルを失った事件を受け、暗号資産ATMの全面禁止を求めている。この問題を巡る協議には、テキサス州議会の議員やTexas Financial Crimes Intelligence Centerの関係者も参加している。なお、インディアナ州、テネシー州、ミネソタ州では、すでに暗号資産ATMの設置や運用を禁止する措置が導入されているとされる。
業界全体も厳しい状況に直面している。北米で9,000台以上の暗号資産ATMを運営するBitcoin Depotは、2026年第1四半期の売上高が前年同期比で約50%減少したことを受け、5月に連邦破産法第11章(Chapter 11)の適用を申請した。また2月には、マサチューセッツ州司法長官が、同州内の同社ATM収益の半数以上が詐欺関連取引によるものだったとして提訴している。
米国シークレットサービスは、暗号資産の送金は処理が非常に速く、一度送金が完了すると資金を取り戻すことは極めて困難だと改めて注意を呼びかけている。また警察は、政府機関や公共サービス事業者がビットコインATMを利用した支払いを要求することは決してないと強調している。たとえ相手が個人情報を把握していたり、公的機関の電話番号を装って連絡してきたとしても、それは詐欺を疑うべき重要な警告サインだとしている。