AWS障害、Web3の中央集権化を浮き彫りに
15時間のAWS障害でWeb3の弱点が露呈――主要な暗号資産・フィンテックサービスが停止、中央集権的インフラへの依存が明らかに
最近、約15時間にわたって発生したAmazon Web Services(AWS)の大規模障害により、Coinbase、Robinhood、MetaMask、Venmoなど主要な暗号資産・フィンテックプラットフォームが一時的に停止した。
ブロックチェーンそのものは正常に稼働していたものの、多くのユーザーがウォレットにログインできず、アプリを利用できなくなった。この出来事は、Web3の多くが依然として中央集権的なインフラに依存していることを明確に示した。
Bitget Walletのジェイミー・エルカレ氏は、「分散化はブロックチェーン上ではうまく機能しているが、インフラレベルではそうではない」と指摘する。真のレジリエンスを実現するには、AWSやGoogle Cloud、Microsoft Azureといった巨大クラウド事業者(いわゆる“ハイパースケーラー”)への依存を減らす必要があると述べた。
エルカレ氏によれば、完全な分散化を大規模に実現するのはまだ難しい。多くの開発チームが、利便性やスピード、法的な要件を理由にクラウドサービスを利用しているためだ。彼は、従来のクラウドサーバーと分散型ネットワークを組み合わせた「マルチドメイン型インフラ」を構築するのが理想的だと提案する。こうした仕組みであれば、1社の障害が全体のシステム停止につながることはない。
EthStorageおよびQuarkChainの共同創設者であるアンソリン・シアン氏も同様の見解を示した。彼女は「多くのWeb3サービスが依然として中央集権的なサーバー上で動作しており、真の分散化とは言えない」と述べ、今回の事例を「家は無事だが、ドアが開かなくなったようなもの」とたとえた。ブロックチェーン自体は稼働していたが、インターフェースやAPIがAWS上にあったため、ユーザーがアクセスできなかったという。
障害は月曜日に発生し、約15時間続いた。その間、CoinbaseアプリやBaseネットワークが停止し、RobinhoodではAPIエラーや遅延が発生。MetaMaskでは残高がゼロと表示される不具合もあったが、ユーザーの資産は安全で、問題はアカウント情報の取得システムにあった。
Vanar BlockchainのCEO、ジャワド・アシュラフ氏は、業界が同じサーバーに過度に依存していることを批判した。推定によると、Ethereumノードの約70%がAWS、Google、またはMicrosoftのクラウド上で稼働しているという。
「まるで同じ建物に3人の大家へ家賃を払っているようなものだ」と彼は皮肉を込めて語った。
完全な分散型インフラの構築は技術的には可能だが、アシュラフ氏は「多くの企業がすぐには採用しないだろう」と認めている。理由は、構築が複雑で速度面でも不利だからだ。
エルカレ氏は、今回のAWS障害を「業界全体への警鐘」として受け止めるべきだと述べる。Web3の未来は、トークンの分散性ではなく、インフラがどれだけ分散化されるかにかかっているという。彼はまた、Akash、Filecoin、Arweaveなどの分散型クラウドやデータ保存プロジェクトへの投資が増えていることを挙げ、今後の技術の方向性を示した。