日本が米国のバブルを崩壊させる可能性
シフ氏は、日本の債務危機が米国の金融市場に深刻な混乱をもたらす可能性があると警告している。
経済学者のピーター・シフ氏は、日本が抱える金融問題が米国にも波及する可能性があると警告している。懸念されているのは、円安や債務返済コストの上昇、そして国内総生産(GDP)の200%を超える巨額の政府債務だ。
円は対ドルで40年ぶりの安値まで下落した。日本の30年国債利回りは過去最高に近い4%に迫り、10年国債利回りも1996年以来の水準に戻った。それにもかかわらず、日本の政策金利は依然としてわずか1%にとどまっている。
このため、日本銀行は難しい立場に追い込まれている。大幅な利上げに踏み切れば、景気後退を招くだけでなく、投資家が海外市場から資金を引き揚げる可能性がある。一方、何も対策を講じなければ、円安がさらに進むおそれがある。
これは米国にとっても重要な問題だ。日本は1兆1,000億ドルを超える米国債を保有しており、海外勢として最大の保有国となっている。シフ氏によれば、危機が発生すれば、日本政府が米国債の大規模な売却を迫られ、米国の金融バブルが崩壊する可能性がある。
米国の債務コストが上昇していることも、状況をさらに悪化させている。米国の30年国債利回りは5.16%まで上昇し、2006年以来の高水準を記録した。米国の政府債務はすでに39兆6,000億ドルを超え、20年前の4倍以上に膨らんでいる。
同時に、投資家は人工知能(AI)に対しても慎重な見方を強め始めた。予想を上回る支出計画を発表したアルファベットの株価は10%下落した。オラクルは1週間で約8%下落し、年初からの下落率は41%に達した。メタは7.3%、アマゾンは6.8%、マイクロソフトは2.7%下落した。マイクロソフトの年初来下落率は19.3%となっている。
シフ氏は、市場がAIへの巨額投資に本当に見合ったリターンが得られるのか、疑問を持ち始めたとみている。企業がAIに投じる資金は、年間約7,500億ドルに上る。同氏は現在のブームを、ドットコム・バブル崩壊前の投資熱になぞらえた。AIが将来的に重要な役割を果たすことは否定していないものの、投資家は利益が出るまでの期間を短く見積もりすぎていると指摘する。
今回の売りは、イーロン・マスク氏の企業にも及んだ。スペースXは1週間で7.7%下落し、株式公開後に付けた最高値を49%下回っている。一般投資家が売買できる株式の割合は、年末までに5%から40%へ上昇する見通しだ。テスラは18%下落し、直近52週間の最高値を35%下回った。シフ氏によれば、マスク氏はわずか1週間で約1,000億ドルを失ったという。
原油価格の上昇も新たな問題となっている。原油価格は1バレル=100ドルを突破し、イランを巡る緊張の高まりを背景に、7月だけで約30%上昇した。このためシフ氏は、8月に発表される7月のインフレ率が上昇すると予想している。
金価格は1週間で約1%上昇した。金鉱株で構成されるGDX指数は5.6%、中小型の金鉱株を中心とするGDXJ指数は5.8%上昇した。シフ氏はこれを、同セクターの下落局面が終わりに近づいている可能性を示す兆候と受け止めている。
同氏は、新規失業保険申請件数が18万7,000件に減少したことについても言及した。ただし、ギグワークの拡大や雇用市場全体の弱さを考慮すると、現在ではこうした統計の重要性は以前より低下しているとの見方を示した。
シフ氏はさらに、トランプ政権が約60カ国からの輸入品に課した関税についても批判した。これらの措置は1974年通商法に基づいて導入され、強制労働との関連が疑われる製品も対象となった。同氏は関税を「憲法に反する税金」だと表現し、その負担を最終的に背負うのは米国の消費者だと主張した。