トランプ氏、住宅法案への署名を保留 クラリティ法案の年内成立にも影響か
トランプ氏が住宅法案への署名を保留し、クラリティ法案の審議にも影響を与える可能性がある。
ドナルド・トランプ大統領は、上下両院で圧倒的な支持を得て可決された超党派の住宅法案への署名を見送る方針を示した。その理由は、自身が優先課題と位置付ける「SAVE America Act(セーブ・アメリカ法)」の成立を先に実現したいという考えにある。
SAVE America Actは、連邦選挙で投票する際に米国市民であることを証明し、有効な本人確認書類を提示することを義務付ける法案だ。すでに下院は通過しているものの、上院では審議を進めるために必要な支持をまだ確保できていない。
トランプ氏は、議会がこの選挙法案の審議を進めるまで住宅法案には署名しないと明言している。この判断により、8月の議会休会前の限られた日程の中で、新たな政治的対立が生じる可能性が高まっている。
一方、住宅法案そのものは非常に幅広い超党派の支持を集めていた。上院では85対5、下院では358対32という大差で可決されている。
法案には、住宅建設の迅速化、環境審査手続きの一部簡素化、大手投資ファンドによる戸建て住宅の大量購入を抑制する措置などが盛り込まれている。また、2030年末まで連邦準備制度理事会(FRB)が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行することを禁止する条項も含まれている。
今回の対立は住宅政策と選挙制度をめぐる問題に見えるが、その影響はそれだけにとどまらない。現在、議会では複数の重要法案が同時に審議されており、残された時間は限られている。
その一つが「Digital Asset Market Clarity Act(クラリティ法案)」である。この法案は暗号資産市場の規制を明確化することを目的としており、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限をどのように分担するかを定める内容となっている。
クラリティ法案はすでに上院銀行委員会を15対9で通過した。しかし、大統領の署名を受けて成立するまでには、なお複数の立法手続きを経る必要がある。
8月の議会休会まで残された審議期間は約5週間しかない。政治的な対立が長引けば、その分だけ他の重要法案を審議する時間は失われる。そのため、SAVE America Actをめぐる膠着状態が続けば、クラリティ法案が今夏中に上院本会議で採決される可能性も低下しかねない。
もし休会前に法案が成立しなければ、その後は11月の中間選挙に向けた準備が本格化し、法案審議はさらに難しくなる可能性がある。選挙期間中は議会の立法活動が鈍化する傾向があり、法案成立の見通しはより不透明になる。
現時点では、トランプ氏の戦略が成功するかどうかはまだ分からない。SAVE America Actは依然として上院で十分な支持を得られておらず、議会に残された時間も限られている。今後数週間で、トランプ氏が選挙法案の前進を実現できるのか、それとも政治的な行き詰まりがクラリティ法案を含む他の重要法案にも影響を及ぼすのかが注目される。