高級別荘の売却交渉中に暗号資産を盗難
フランス警察が約180万ドル相当の暗号資産窃盗容疑で親子2人を逮捕。
フランス警察は、約180万ドル相当の暗号資産(仮想通貨)を盗んだ疑いで、母親と息子の2人を逮捕した。被害に遭ったのは、およそ1,000万ユーロ相当の高級別荘を売却しようとしていた裕福な夫婦で、事件の捜査には約1年を要した。
フランス紙『Var Matin』によると、容疑者らは裕福なイタリア人投資家の代理人を装い、南フランス・ラマチュエルにある別荘の所有者をイタリア・ミラノへ招待し、売買交渉を行うと持ちかけた。
買い手を名乗る人物は、売り出し価格を上回る金額を提示した一方で、取引を進める条件として、売り手側が150万ユーロ相当の暗号資産を保有していることを証明するよう求めた。この資金は取引費用の支払いに必要だと説明していたという。
捜査当局によると、詐欺は2回目の面会時に実行された。容疑者らは夫婦の注意をそらしている間に、小型カメラを内蔵した眼鏡を使用し、暗号資産ウォレットへのアクセス情報や秘密鍵を盗み取った。その直後、ウォレット内の資産はすべて送金され、消失した。
容疑者らは偽名を使いながらフランス各地を転々としていたものの、警察は最終的に身元を特定した。2人はパリ近郊に住んでおり、過去にも同様の犯罪歴があったという。取り調べでは、いずれも容疑を否認している。
現在、2人は司法当局の監視下に置かれており、9月1日にドラギニャンの裁判所へ出廷する予定だ。組織的詐欺や資産の出所を説明できなかった罪などで起訴される見通しとなっている。また、裁判所はフランス・リビエラにある総額約190万ユーロ相当の不動産3件を差し押さえた。
この事件は、フランスで暗号資産保有者を狙った犯罪が増加している現状を浮き彫りにしている。内務大臣のLaurent Nuñezによると、2026年には暗号資産関連の誘拐や恐喝、未遂事件がすでに77件確認されており、前年の45件から大幅に増加した。また、暗号資産ジャーナリストのJoe Nakamotoは、暗号資産保有者やその家族を狙った身体的な襲撃事件の約70%がフランスで発生していると指摘している。