テラ崩壊を巡る新たな訴訟
Terraform Labs、Jump Tradingに40億ドルの損害賠償を請求
Terra(テラ)エコシステムの崩壊は、今なお深刻な法的影響をもたらしている。Terraform Labsの破産管財人は、米国においてJump Tradingおよび同社の元幹部2名を相手取り、40億ドルの損害賠償を求める訴訟を提起した。この裁判は、暗号資産市場史上最大級の危機の一つについて、新たな事実を明らかにする可能性がある。
訴訟は、イリノイ州北部地区連邦地方裁判所に提起された。Terraform Labsの清算を担当する管財人トッド・スナイダー氏が原告となり、被告にはJump Trading LLC、その共同創業者であるウィリアム・ディソンマ氏、そしてJump Cryptoの元CEOであるカナブ・カリヤ氏が名を連ねている。
訴状によると、Jump TradingはTerraエコシステムの成長と崩壊の両方において、中心的な役割を果たしていたとされる。同社は2019年以降、Terraform Labs創業者のド・クォン氏と非公開の合意を結び、LUNAトークンを大幅に割引された価格で大量に購入できる立場にあった一方で、公には中立的な市場参加者を装っていたという。
また、2021年5月にTerraUSD(UST)が米ドルとのペッグを失った際の出来事についても言及されている。当時、Jumpは裏でトークンを買い支え、価格の安定回復を図っていたとされる。しかし、その成功は公式にはプロジェクトのアルゴリズムによるものと説明され、投資家の信頼を高めると同時に、規制当局の関心を抑える結果となった。
さらに、Jumpが保有するLUNAトークンの売却制限が解除された点も問題視されている。これにより、同社は高値で迅速に資産を売却でき、結果として約10億ドル近い利益を得たとされる。2022年5月の最終的な市場崩壊時には、正式な契約がないまま、Luna Foundation Guardから約5万ビットコインがJumpに移転されたとの主張も含まれている。
破産管財人は、これらの行為が市場操作および重要事実の隠蔽に該当し、投資家の犠牲の上にJumpが利益を得たと主張している。Terraの崩壊により、約400億ドルの時価総額が消失し、暗号資産業界全体に連鎖的な影響を及ぼした。
Jump Tradingは現時点で本件訴訟について公的なコメントを出していない。ディソンマ氏およびカリヤ氏は、他の手続きにおいて合衆国憲法修正第5条を理由に証言を拒否しており、カリヤ氏は昨年同社を退職している。本件は、Terraを巡る一連の法的措置の一部である。2024年12月には、Jumpの関連会社が米証券取引委員会(SEC)との和解により1億2,300万ドルを支払うことに合意した。Terraform Labs自身も約45億ドル規模の和解に応じており、ド・クォン氏は詐欺罪で懲役15年の判決を受けている。
今後、裁判が本格的に進めば、証拠開示を通じて内部のやり取りや取引データが明らかになり、大手トレーディング企業がTerra崩壊に果たした役割に対する見方が大きく変わる可能性がある。