EU、金融犯罪対策を強化
欧州、暗号資産を利用した資金洗浄の増加を受け新たな金融犯罪対策トップを任命へ
欧州は、マネーロンダリング対策を強化するため、新たな金融犯罪対策トップの任命に向けて準備を進めている。特に暗号資産を利用した資金洗浄への取り締まり強化が期待されている。非公式の情報によれば、今回のユーロポールでのポストには、経済犯罪を専門とするイタリア財務警察(Guardia di Finanza)の将校、ジュゼッペ・ロペス氏が就く見込みだという。正式発表は来月にも行われる可能性があるが、まだ確定には至っていない。
専門家たちは長年、従来の捜査機関が増え続ける資金洗浄事件、国境を越えた詐欺、制裁回避の手口に追いつけていないと警鐘を鳴らしてきた。さらに、犯罪組織が暗号資産を利用するケースが増えていることも大きな課題となっている。最近の例として、米国当局がカンボジアを拠点とした大規模なサイバー詐欺ネットワークを摘発した際、約150億ドル相当のビットコインを押収したことが挙げられる。
ロペス氏が率いる予定の「欧州金融・経済犯罪センター」は、EU加盟国が資金の流れを追跡し、国外に隠された資産を回収するための支援を行っている。同センターは2020年の設立以来、複雑な国際案件の調整を担当しており、最大規模の取り組みとなったのが2022年に開始された「オスカー作戦」である。この作戦は、ロシアのウクライナ侵攻後に制裁対象となった人物の資産を特定し、凍結することを目的としている。これまでに20億ユーロ以上の資産が凍結された。
一方で、デジタル資産市場の監視強化を求める声も高まっている。暗号資産は高速かつ追跡が難しい送金を可能にするため、犯罪者にとって魅力的な手段となっている。最近では、アメリカで「ビッグ・バッチャリング(pig butchering)」と呼ばれる手口を使った大規模サイバー詐欺と資金洗浄ネットワークを指揮したとして、実業家チェン・ジー氏が訴追される事件も起きている。