フランスの暗号資産業界は、ステーブルコイン決済に関する明確で現代的な規制の整備を政府に求めている。業界関係者は、現在の税制が時代遅れとなっており、国内デジタル経済の発展を妨げていると警告している。 フランス紙「ル・モンド」に掲載された寄稿では、ステーブルコインが日常的な決済手段として急速に普及していることが指摘された。特に、インターネット上で自律的に動作するAIシステムによる利用が増加しているという。 執筆者らは、欧州中央銀行(ECB)が規制に準拠したステーブルコインを電子マネーとして認識している点を強調し、現行の税制は実態に合わなくなっていると主張している。 現在のフランスでは、ステーブルコインを使った単純な支払いであっても、ユーロへ換金する際にキャピタルゲイン税が発生する可能性がある。専門家によれば、この仕組みは企業や利用者によるデジタル決済の普及を妨げているという。その結果、一部の投資家は追加コストを避けるため、ステーブルコインを決済ではなく保有目的で利用している。 この問題は、欧州連合(EU)のMiCA規制が導入されることでさらに重要性を増している。MiCAは、ステーブルコインに関する準備資産、透明性、利用者保護などのルールを定めているが、税制については各加盟国の管轄に委ねられている。 記事ではまた、フランスが以前から暗号資産関連企業向けの独自規制を整備し、欧州でも先進的な立場にあったことにも触れている。しかし業界関係者は、税制改革が行われなければ、フランスは競争力を失う可能性があると警告している。例として、ステーブルコイン決済に比較的友好的な環境を持つスイスやシンガポールが挙げられた。 特に不透明感を抱いているのは、EC事業、国際貿易、デジタルサービス分野の企業だ。これらの業界では、ステーブルコインの利用に追加の税務処理や複雑な会計対応が伴う場合が多い。 業界側は、新たな規制が導入されなければ、フランスのフィンテックやAI分野における地位が弱まる可能性があると警鐘を鳴らしている。企業や高度人材が、より先進的な規制を持つ国へ移転する動きが加速する恐れがあるとして、迅速な対応を求めている。